医療事務 2024.06.26

【医療事務】レセプト返戻とは?査定との違いや再請求までの流れ

【医療事務】レセプト返戻とは?査定との違いや再請求までの流れ

医療事務の主要業務の一つであるレセプト請求に誤り・不備があると、「レセプト返戻」と呼ばれる対応が取られる場合があります。レセプト返戻は、診療報酬の支払いが遅延する原因となるため、医療事務にとって非常に重要な問題です。

レセプト返戻の概要、レセプト返戻と似た「レセプト査定」との違い、再請求の手順、およびレセプト返戻の主な理由について詳しく解説します。これにより、レセプト返戻を防ぐための対策や、返戻が発生した場合の対応方法を理解し、業務を円滑に進めるための手助けとなるでしょう。

レセプト返戻とは

レセプト返戻とは、医療事務が作成した診療報酬明細書が審査側によって不適切だと判断され、差し戻されることを指します。保険請求上の適合性を確認した結果、不適切な内容であったり、それが疑わしかったりする場合に、レセプト返戻が行われます。

レセプト返戻で指摘された項目を直して再請求することはできますが、やりとりに日数を要し、診療報酬の支払い遅延の原因となります。そのため、レセプト作成後は内容の確認を慎重に行うことが重要です。

レセプト返戻とレセプト査定との違い

レセプト返戻とレセプト査定との違い

レセプト返戻

  • 定義: レセプトの内容が不適切として差し戻しをされること。
  • 対応: 指摘された項目を修正して再請求が可能。
  • 影響: やりとりに時間がかかり、診療報酬の支払い遅延が起きる可能性がある。

レセプト査定

  • 定義: レセプトの内容が審査側に適当でないと判断されること。
  • 対応: レセプトの返却はなく、再請求も不可。
  • 影響: 報酬の請求が認められなかったり、減額されたりする。異議がある場合は審査支払機関に再審査の申し立てが可能。

レセプト返戻の再請求までの流れ

レセプト返戻をされた場合、再請求ができます。再請求までの流れを見てみましょう。

1.初回請求と審査

当月中に請求したレセプトは、翌月中に保険者および審査支払機関によって審査されます。

2.返戻通知

請求内容に不備があると判断された場合、翌々月の初旬頃にレセプトが返戻されることになります。
返戻されたレセプトには、不備がある箇所が具体的に指摘されています。

3.確認・修正

指摘された箇所を確認し、必要な修正を行います。

4.再請求

修正後、初回の請求から翌々月10日までに審査支払機関へ再請求します。
再請求の際には、すべての修正箇所を再確認し、誤りがないように慎重に対応することが重要です。

5.再審査

再請求されたレセプトは、その月の末日までに保険者および審査支払機関が再審査を行います。

6.診療報酬の支払い

再審査で問題がなければ、再請求を行った月の翌々月に診療報酬が支払われます。
再請求が遅れると支払いも遅れるため、速やかに対応することが重要です。

レセプト返戻のよくある理由と対策

レセプト返戻のよくある理由と対策

レセプト返戻は、主に以下のような理由で行われます。

事務手続きの間違い

レセプト返戻の主な理由の一つは事務手続きの間違いです。これには、記号や番号の誤り、保険証情報の記載ミスなどが含まれます。

同じ受診者でも保険証の情報が変わることがあるため、毎月の保険証確認が不可欠です。
また、受診者が扶養に入っている場合でも被保険者名欄に受診者本人の名前を記入してしまうミスも多発します。

こうしたミスを防ぐためには、記載内容の正確さを保つために、レセプト作成時の確認作業を徹底することが重要です。
チェックリストを使用して、記号や番号、記載の不備がないかを確認し、保険証の情報を最新のものと照合することで、事務手続きの間違いによる返戻を防ぐことができます。

保険法上の違反がある

保険法上の違反もレセプト返戻の原因となります。医科と柔道整復師の施術による保険治療を同時に受けることは認められていないため、部位や負傷が同一の請求があると医科の請求が優先され、柔道整復師の請求は返戻されるのです。

例えば、通院履歴がない場合でも、投薬期間が重なっていると受診者は医師の管理下にあると判断されるため、柔道整復術の請求が返戻されることがあります。このため、柔道整復師の施術を行う施設では、受診者が医療機関で診療や投薬を受けていないかを確認する必要があります。

こうした確認を怠ると、保険法に抵触し、レセプト返戻が発生するリスクが高まります。医療機関との連携を密にし、受診者の治療状況を適切に把握することが重要です。

おわりに

レセプト返戻について説明しました。

レセプト請求は医療機関の収益に直結するため非常に重要な仕事ですが、レセプト返戻や査定が行われると報酬の支払いが遅れたり、最悪の場合は受けられなくなったりします。
そのため、医療事務は返戻や査定が発生しないよう、慎重に対応する必要があります。

病院側の対策に加えて、医療事務担当者自身もレセプト業務のスキルを向上させることが重要です。

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