医療事務のレセプト(診療報酬明細書)業務とは?未経験者向けに解説
レセプト業務は医療事務の重要な役割の一つであり、未経験の方が医療事務を目指す際に特に関心を持つ領域です。
この業務についての基本情報や、未経験でも対応可能かどうかなどの疑問に対して、ここでは詳しく解説します。
レセプト業務とは
レセプト業務は、医療サービス提供後に医療機関が診療報酬を請求するための事務手続きです。診療報酬は、提供された医療サービスの費用を示し、これは「診療報酬点数表」に基づいて計算され、1点あたり10円で算定されます。
多くの人が何らかの形で健康保険に加入しており、医療費の大部分は保険がカバーしますが、自己負担分(最大で医療費の3割)を患者が支払う必要があります。残りの部分は患者が加入している保険者が負担します。
医療機関が診療報酬の全額を受け取るには、患者が加入している医療保険者に対し、患者負担分を差し引いた金額の請求が必要です。このプロセスがレセプト業務であり、医療機関の主要な収入源となっています。
診療報酬の仕組み
医療機関が提供した医療サービスに対して適切な報酬が支払われるために、診療報酬の請求や支払い手続き等については、法律で規定されています。
患者がクリニックや病院で受けた医療行為に基づき、医療機関は保険者(健康保険組合や国民健康保険など)に診療報酬を請求します。この際、医療機関と保険者との直接的なやり取りは行われず、国によって設立された「審査支払機関」と呼ばれる第三者機関が仲介します。
具体的には、医療機関は毎月の診療活動に基づいて診療報酬請求書と診療報酬明細書(レセプト)を作成し、これらを審査支払機関に送付します。審査支払機関では、提出されたレセプトが医療行為の内容や保険適用基準に照らし合わせて適切であるかをチェックし、問題がなければ医療機関に対して報酬の支払いを行います。
このプロセスにより、医療機関は提供した医療サービスに対して正当な報酬を受け取ることができます。また、審査支払機関による厳格なチェックを通じて、不適切な請求や過剰請求が防がれ、医療費の適正化にも寄与しています。
レセプト業務の流れ
レセプト業務の流れは以下のステップで構成されます。
レセプトの入力
専用のコンピューターシステム「レセコン(レセプトコンピューター)」に診療内容を入力し、診療報酬を自動計算します。
レセプトの確認
入力された情報に誤りがないかを、チェック用ソフトまたは目視によって検証します。このステップは、入力ミスが医療機関の収入に影響を与える可能性があるため、特に注意が必要です。
医師の確認
レセプトに問題が見つかった場合、医師に確認し、必要に応じて修正を行います。最終的な確認も医師が実施します。
審査支払機関への送付
診療報酬請求書と診療報酬明細書を審査支払機関に送付します。送付後、内容に問題がある場合は差し戻され、医療機関は診療報酬の減点や再提出を余儀なくされるため、慎重な処理が求められます。
レセプト業務は未経験でもできる?
レセプト業務は、医療機関の財務に直結する重要な業務であり、経験と正確な知識が必要ですが、特定の資格が必須ではありません。
未経験者でも対応可能ですが、業務に必要な知識を深め、スキルを習得するために、関連する資格の取得を推奨します。
医療事務向けのレセプト業務関連資格
レセプト業務に関連する資格試験は、医療事務の専門性を高めるために設計されています。これらの試験は、診療報酬請求における知識と技能を認定するために設計されています。以下に、主な資格試験を紹介します。
レセプトの確認
レセプト業務に関連する資格試験は、医療事務の専門性を高めるために設計されており、これらの試験は、診療報酬請求における知識と技能を認定することを目的としています。以下に、主な資格試験を紹介します。
【医療事務認定実務者(R)試験】
診療報酬請求に関する知識を問う試験で、未経験者にも取得しやすいとされています。学科と実技の両方の試験があります。
【医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) 】
学科と実技試験を含む試験で、在宅での受験が可能です。毎月実施されるため、日程の面では受験しやすくなっています。
【医療事務管理士(R)技能認定試験】
医療保険制度や診療費計算、カルテ管理など、専門性が高い内容が出題されます。難易度はやや高めです。
【診療報酬請求事務能力認定試験】
難易度が最も高いとされる試験で、年2回実施されます。実際のカルテを用いたレセプト作成など、実践的なスキルが試されます。
まとめ
レセプト業務は、医療機関の収入を支え、運営を安定させるために不可欠な業務です。この業務は、診療報酬請求の正確性を保証し、患者や保険者からの適切な報酬を確保するための専門的な知識と技術を要求します。
資格が必須ではないものの、レセプト業務の専門性と重要性を鑑みると、未経験者は関連する資格の取得を目指し、専門知識を習得することが望ましいと言えます。資格取得を通じて得られる知識とスキルは、業務の効率化、ミスの削減、そして医療機関の信頼性向上に貢献し、医療事務職としてのキャリア発展にもつながります。
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